Workers K&T H MFG Co "Moonglow Trousers, Brushed Soft Chino"
Moonglow Jacket とセットアップになる新型トラウザーズ。
この数年、ウェストにタックが入ったトラウザーズが一般的に成りました。が、そうなると私は天の邪鬼なのかあまり穿かず。同じ腰回りがゆったりしたトラウザーズでも、Officer Trosuers のVintage シルエットを良く穿いていました。
あちらはタックが無くとも、また上の深さ、ワタリの広さで腰回りのゆったりした寸法を出しているので穿いていて楽。では、あのシルエットの裾を急激に絞ったらどうなるのか？が型紙のスタート。
腰回りは、ビンテージのチノパンをベースにしたシルエット。膝は絞りすぎない。ここで絞り切ってしまうと動きづらくなる。でも、裾は18 センチで動きづらくならないギリギリまで絞る。腰回り・膝に体を動かした時に突っ張らないためのゆとりはありながら、裾はすっきり見えるシルエットにしています。
素材、7.2 オンス・Brushed Soft Chino はSergeと同じ起毛でも、より柔らかく、防シワ加工まで入っているので「きれい目」なトラウザーズには最適な素材。ウェス・アンダーソンが着てそうな色。
サンプルは洗ってみましたが、激しい縮みは無いため、量産の納品は未洗いです。
腰回りは以前作った、Officer TrousersのVintageを参考に、また上を深く、ワタリも広く。タックが無くても窮屈に感じないパターンに。
デザインはいわゆる「チノパン」系とは違い、身頃・帯が分かれます。
右身頃側、チェンジポケット、コインポケット、呼び名は色々ありますが、いかにもトラウザーズらしいフラップ付きの小さなポケット。
機能性はほとんどありませんが、装飾として。
フロントはファスナーフライ。腰裏・ポケットに色がついたスレキを使い・・・
帯裏に使ったスレキは少し引いた位置に、隠しの押さえステッチを千鳥に。帯裏のスレキ、下側は折代を多くとって表からステッチをかける。
見えない部分なので、もっと単純に帯をつけても良いのですが、「いかにもトラウザーズ」らしい始末をこういう部分でもやりたくなるのです。
魯山人が作陶の時に、「コピーだけど、どこをコピーするか。そこが肝要」といったような事を言っていたそうです。服を作る時も、そうだと私は思います。
その製品のそれ「らしい」部分を真似て。そこに、プラスアルファ、現代に求められるシルエット、品質。生地に合わせた仕様やパターン。 そういう様々な要素をまとめて「欲しい！着てみたい！」と思わせるものを作りたい。作ってこそ、自分が「服を企画する」という仕事を目指した意義があると思うのです。
ファスナーはトラウザーズでは毎回使っている、YKKなのにビンテージライクに見えるYZIP。引手・ムシが小さいので、トラウザーズの前立てに綺麗に収まります。
ネームは後ろポケットに。
背面。二本のダーツでヒップの丸みを出しています。腰回りの型紙、参考にしたOfficer TrousersのVintage Fitは一本ダーツだったところを、分散。さらに、少しヒップの丸みも強くして、より尻ぐりが食い込まない、突っ張らないようにしています。
ループは、後ろ中心に3本つけて、合計7本仕様。
ここもオートベルター（ループを所定の長さに切って・折って・カンドメで縫う）を使えば早いのですが、あえてループを腰下に流し込みに。オートベルターが無かった時代は、こんな作り方も合理的だったのだと思います。単純に、縫い代が一か所見えなくて、ドレスウェアよりには好きな仕様なのですが、工場さんにしてみれば「なぜ今これやるの！？」という仕様でもあります。
そこで、今回のトラウザーズはそもそもオートベルターを普段から使わない工場さんにお願いしつつ、ベルトループは細いのを付けたかったのでWORKERSからミシン貸出にしました。
「こんな製品が作りたい」と思ったら、どんな設備、どんな仕様が得意か？それを良く考えて、どこの工場に頼むかから製品作りはスタートします。
脇は割り始末。
素材 7.2オンス・コットン100％・起毛チノ
附属 YZIP、樹脂ボタン
縫製 スパン糸
MADE IN JAPAN
30 ウエスト78.0�� 股上(前29.5cm,後37.5cm) レングス80.0cm ワタリ幅33.0cm スソ幅17.5cm
32 ウエスト83.0�� 股上(前30.0cm,後38.0cm) レングス80.0cm ワタリ幅34.0cm スソ幅18.0cm
34 ウエスト89.0�� 股上(前30.5cm,後38.7cm) レングス80.0cm ワタリ幅35.0cm スソ幅18.5cm
Workers K&T H MFG Co.
岡山を拠点にし、主にアメリカ物ワークアイテムを紹介しているブランドです。
実際のアイテムを調べる事はもちろん、そのアイテムを作っていたメーカーや現存する建物にまで足を運び歴史を調べ上げてアイテムづくりのヒントにしています。
生地やパーツにこだわり抜いた商品ながら非常にコストパフォーマンスの高いアイテムが特徴です。
