Workers K&T H MFG Co "Work Shirt, Red Madras"
今年のワークシャツはフラップ+ペン刺し付。これをあえて1ポケットに。さらにチンストラップも無しで「ワークシャツだけど、どこかドレスシャツ的でもある」雰囲気を目指しました。
縫製は目の細かいチェーンステッチ主体でビンテージらしさを表現。ボタンは高瀬貝ボタン。細かい事を言うと14ミリ強。インチで言うと9/16。日本でボタンを探すとミリ単位がほとんどで13ミリ/15ミリがほとんどのラインナップ。そこをあえて14ミリ強、9/16インチとインチ単位にこだわって使ったネコ目の貝ボタンです。
マドラスは今年もインド産。3 オンス程度でこちらはやや薄め。糸染めの染料はある程度堅牢度が良い物を使っています。 が、その色見本を以前、草木染めで作った色から取っています。そのため、全体にぼやっとした色合い。ごく小さなピンホール、 糸のムラ、急激に糸が太くなる等々、現代の感覚では問題に感じる部分も多々あります。もちろん、裁断の時に発見でき る傷は出来る限り取り除きますが、それでも洗ってみて初めて分かる傷や小さなピンホールがあります。WOREKRS では 縫製後シャツは一度洗います。マドラスのピンホールに関しては、水に溶けない糸専用の固着剤で補修するので、洗濯で どんどん広がってしまう・・・という事は無いのでご安心ください。
製品はOW済です。
台襟の無い首回り。羽襟もビンテージよりは短く、少しだけ現代的に。
胸ポケットはワークシャツらしからぬ、左に1ポケット。通常、ワークシャツはよほど古い物で無い限りは左右2ポケットが定番のデザイン。そこをあえて、左一つにして、少しだけワークウェアらしさからドレスウェアのシャツよりに。でも、フラップ+ペン刺し。カン止め補強とワークウェアらしさも残す。
フロントは高瀬貝のネコ目ボタン。ほんの少し大きくて、厚手の物を使っています。
上前・下前ともに多本針の環縫いミシンで始末。いわゆる、アメリカンワークウェアの縫い方で、何本も入ったステッチ、立体的な環縫いがそれらしい。洗いこむと、この環縫い部分のパッカリングが味わいにもなります。
袖口開きは通称「イッテコイ」。切り込みを入れてそこをパイピング状に共生地で巻く。それをさらに倒してステッチを入れています。少し長めの開き、これが袖のまくりやすさのポイントです。春夏向けに作ったシャツなので袖をまくることも多いので。
どうでも良いと言えばよいのですが・・・カフス周りのステッチを縫い外しています。参考にしたのが・・・
この昔のLeeのワークシャツ。おそらく、かなりの厚さになる角を避けた方が綺麗に、早くできるよね!という仕様だと思いますが、これが今見ると「それらしいな」とも見えるので採用しました。
こんな風に、一口に「企画」と言っても、細かなステッチの入れ方までひたすら「決める」事の繰り返しです。普通は、「マーチャンダイザー」と呼ばれる人が全体の製品構成や価格構成を考える。デザイナーが大まかにデザインし、パタンナーが細部を詰めて型紙にする。それを生産管理が工場に指示・手配して・・・という流れなのですが、WORKERSの場合、それらを一人でやります。
一人だから、企画の発想力に限界があるというマイナス面もありますが、一人だからこそ、作ってはそれが完成し、見て、着て、考えて。細かな微調整を繰り返して製品の完成度を高めるのがやりやすい強みもあります。
最近考えるのが、豪華なお店で製品を販売する。そういうのも「いいな!」と思うのですが、買って帰れば結局は一つの「物」になります。そうなった時に、お客様に「いいな!」と思っていただけるのは、結局細かな部分の積み重ねから醸し出される「物の力」なのだと思います。
大きなブランド・メーカーならまだしも、WORKERSのような小さなブランドの場合、やっぱり「物の力」は大事です。いくら、展示会やカタログで良く見せても、最後は「物の力」。この「物の力」の源泉こそ、こういうこまか〜い部分まで気を使う事だと私は信じています。何が正しいかはわかりません。何を信じるかです。
肩・袖ぐりのチェーンステッチ巻き縫い。今回は、ステッチ運針は細かく、ビンテージらしい細い糸で縫っています。
脇のマチ始末。
バックヨークはカーブさせて。このあたりは、LeeタイプではなくBIGYANKでおなじみRelianceタイプ。機能だけ考えるとまっすぐでも良いのですが、私の作る服は全体的に丸みを帯びているのでそうなると、ヨークもこちらの方が好きなのです。
BIGYANKの特許では、腕を前に出して力がかかった時にヨークのカーブがその力を受け止める!みたいなちょっと無理やりじゃない?という内容もありました。でも、実際に着ているとこのカーブのおかげで肩甲骨の丸みはうまく収まっているようにも感じます。ダーツも無いので「感じる」というレベルではあるのですが。
素材 3.0オンス・コットン100%・インディアマドラス
附属 高瀬貝ボタン
縫製 主要部綿糸
ワンウォッシュ製品 MADE IN JAPAN
サイズ14.5 肩幅43.0cm 身幅50.0cm 着丈72.0cm 袖丈61.0cm
サイズ15.5 肩幅44.0cm 身幅53.0cm 着丈74.0cm 袖丈62.0cm
サイズ表
Workers K&T H MFG Co.
岡山を拠点にし、主にアメリカ物ワークアイテムを紹介しているブランドです。
実際のアイテムを調べる事はもちろん、そのアイテムを作っていたメーカーや現存する建物にまで足を運び歴史を調べ上げてアイテムづくりのヒントにしています。
生地やパーツにこだわり抜いた商品ながら非常にコストパフォーマンスの高いアイテムが特徴です。