Workers K&T H MFG Co "Modified BD, Red Stripe Broadcloth"
2020年の更新で、以前より首回りが2センチ大きくなりネクタイを締めやすくなったModified BD。2021年もパターン継続。
身頃、フィット感はあるけれどもピタピタでは無い。肩幅も落ちすぎず、入りすぎず。着丈は裾を出しても・入れても着られる75センチ程を中心に。袖ぐりのカマ(縦方向の寸法)自体はある程度寸法があり、窮屈さは無い。でも肘から先をわずかに細くしてすっきりと。その分、袖がまくりづらくなるので、袖口の開きは深めにとる・・・といったように、論理的に考えて型紙をひいています。デザイン的なシャツでは無く、設計的なシャツとでもいうのでしょうか。 型紙を自分でひくからこそ、こういう作り方の品番もあるのです。
生地はブロードクロス、3オンス程度。いわゆるドレスシャツの素材。オックスと比べると明らかに「薄いな」と感じる。
Modified BD、2020年バージョンからの特徴は首回りが大きくなったこと。2021年もこのパターンを継続しています。全体で2017-2019年までのバージョンより2センチ大きくなっています。 今までは、アメリカ物の古着を買ったときに 「身幅はゆるいぐらいなのに、首だけ妙にきついな・・・」というあの感じをパターンにしていたのですが、WORKERSでもネクタイの製品が増えるにつれ 「もう少し、ゆったりネクタイができる寸法で!」というご意見をいただき、2020年バージョンでは首回りを大きくしました。 ただ、案の定、インポートで育ってきたお店の方からは「前のあの、首がギリギリ。ネクタイしめるときは、台襟のボタン開ける、あれも好きだったんだけどな!」と言われました。ということで、2020年バージョンがいつまで続くかはわかりません。時代に合わせて変わり続けるのがModified(修正された、変更された)のゆえんでもあるからです。
ボタンダウンと言えばよく話題にのぼる襟先のロール。
WORKERSでは台襟のボタンを開けて着た時に適度なロールができるよう位置を決めています。
まずもって、羽襟、台襟、身頃、そしてそれらの取り付け。これらのパターンが精密に、ボタンダウンの場合は左右対称に。(ワークシャツは変えています)さらに、裁断・縫製も精密に行っていないと、前提がグダグダになります。パターンは私が、そして、裁断はお願いしている工場さんではCAM、自動裁断機で。
縫製も一口に「縫う」だと思われがちですが、縫ったとのひっくり返したり、アイロンしたり。そここそが「シャキッとした」服を作るため、一番大事な部分です。
ジーンズなどは、このひっくり返したりする部分を極限まで減らした仕様。だから、ジーンズを縫っている工場は「ドーーーー!!!」っとミシンを踏む音がけたたましくしますが、上着を縫っている工場は「シュ!シュ!」というアイロンの蒸気の音の方がするぐらい。
ボタンの位置、パターン上で想定した位置があるので、まずはサンプルの1枚をつけてみる。
それから、畳んで置いてみたり、ボディに着せ付けてみたり、実際人に着せてネクタイをしたり、はずしてみたり。そんな風にして、位置を精密に決めて、再度、調整してサンプルの段階でボタン付け位置を「寸法」「パターン」で決めます。
「一着一着位置を決めて・・・」などと宣伝されている製品もありますが、正直、数十枚・数百枚と縫う量産工程では非現実的。 それよりは、サンプルの段階で生地の違い、厚みの違い含め検討して決めるように私はしています。
羽襟先のボタン。襟ステッチにかかるぐらいの位置。厚手のオックスでもきれいにひっくり返っている襟先。やっぱり、こういう部分は「シャツ専門工場」の仕上がりの良さがわかる部分です。私もよく「服縫えるの?」と聞かれますが、形にはできます。でも、中々きれいに出来ないのがこういう襟先とかひっくり返す部分。道具も要るし、一日にそこを何十枚をやるからこそ、量産の独特な「うまさ」が出る部分です。
一人で服を一着丸々縫うことを「丸縫い」と俗に言います。サンプルなどはこの方法で縫われることが多いです。丸縫いされている人は、服の作り方全行程知ってますし、たいてい丁寧・綺麗に縫える人がやるので、サンプルはサンプルで独特なきれいさがあります。いわば、「ゆっくり新調に縫って綺麗」なケースが多い。
それに対し、量産は、一人が特定の工程を繰り返しやります。これはこれで、独特な「うまさ」が出るのです。考えてみれば、もしかすると丸縫いの縫製をしている人が、一生かかってやる襟返しの回数を一週間でやってしまうかもしれない・・・、それが量産なのです。やはり、人間は回数が増えればうまくなる。工夫もする。私が、量産ラインで縫った服を見た時に「うまいな〜」としびれるのが、こういう部分なのです。
「WORKERSのボタンダウンと言えばこれ!という風にネームのデザインは統一した方が良い」と言われて以来、デザインはずっと同じものを使っていましたが、たまにはアレンジできないかな?と思いながら、倉庫の掃除をしていて気づきました。そう、Brooksのネーム、色が赤やら緑やら色々あります。これだ!!!と思い、ネーム屋さんからもらっているレーヨン糸の見本帳を見て、新しくグリーンネームを作りました。だから何が違うというわけではなく、単純にデザインの遊びです。
樽型のポケット、これも以前よりちょっと大きくしました。全体のバランス+携帯が大型化しているためでもあります。 角の補強も、ポケットセッター(所定の位置に縫い付けを足踏み一つで行う半自動ミシン)を使っていないので手間はかかりますが、やっぱりBDらしくコの字に。
調整用ボタンのついたカフス。既製品のシャツなので袖丈はある程度長めに作らざるを得ない。でもジャケットを着た時にカフスがぐ〜っと上に上がるのは嫌。そんな時は、カフスをぎゅっと締めれば大丈夫です。
芯止めのステッチは表だけ。カフスの裏には貫通していません。
おなじみ、やたら細かいステッチ。細い綿糸で縫っているので、このぐらいステッチを打って、かつ生地に目がめり込まないと摩擦にも弱い。
化学繊維の糸で縫えば、単純に強度は出ますがそこはやっぱり、表地に合わせて一緒に味わいの出る綿糸にいまだにこだわってしまうこともあります。最近は、製品の生地種類・パターンによっても化学繊維糸を使うことも増えましたが、今回のModified BDはやはり綿糸です。
この前立ての環縫いの為だけにミシンは買って工場に貸し出しています。カンスぺの前立て縫いが私は一番、綺麗だしメンテもしやすいので好きです。もともと、頼んでいた工場は「今日は太番手、明日は細番手」という風に、いろいろな用途にその前立て縫いを使っていました。これだと、何とか縫えても、「完璧だな」という部分まで中々ミシンのセッティングを持っていけない。そんなフラストレーションを感じて「WORKERS専用」の前立て縫いミシンを買ったのが、もう7-8年前でしょうか。新品で50万弱。高かった・・・でも、なんだかな〜というステッチのシャツ見るぐらいなら多少、苦しい生活してでも変えたかったのです、ステッチを。
で、その後当時の工場のおばちゃんは引退。現在は、別の工場にお願いしていますが、そちらにこのミシンは移動して使っています。
後ろ中心にタック。このタックのおかげで、体が動いたときは身頃にゆとりが出る。でも、肩は「すっきり見える」ある程度の幅で抑えることができる。ここが、典型的なワークシャツとボタンダウンはじめとしたスポーツシャツ/ドレスシャツの違いです。
誰が呼んだか「コンストラクションヨーク」。要するに、肩線と後ろ側にステッチが無いヨーク。ステッチが無い分すっきり見える、生地も地縫いされているだけで若干動くので着心地も「多少」良いかもしれません。
脇はマチ無し。細幅の折伏せ縫い。でも、こういう部分を気にしてみてくれる人も一時期より減りました。が、やっぱり好きだし、もう10年近く前ですがアメリカ物のボタンダウンを解体して作り方を覚えた部分なので今でもこの仕様は欠かせません。
素材 3オンス・コットン100%・ブロードクロス
附属 樹脂ボタン
縫製 綿糸
ワンウォッシュ製品 MADE IN JAPAN
サイズ14.5 肩幅44.0cm 身幅52.0cm 着丈73.0cm 袖丈61.0cm
サイズ15.5 肩幅45.0cm 身幅55.0cm 着丈75.0cm 袖丈62.0cm
サイズ16.5 肩幅46.0cm 身幅59.0cm 着丈76.0cm 袖丈63.0cm
Workers K&T H MFG Co.
岡山を拠点にし、主にアメリカ物ワークアイテムを紹介しているブランドです。
実際のアイテムを調べる事はもちろん、そのアイテムを作っていたメーカーや現存する建物にまで足を運び歴史を調べ上げてアイテムづくりのヒントにしています。
生地やパーツにこだわり抜いた商品ながら非常にコストパフォーマンスの高いアイテムが特徴です。