Workers K&T H MFG Co "Work Shirt, Vintage Fit, Blue Chambray"
古着を参考にトレースした全く新しい型紙で作ったワークシャツです。
ビンテージのワークシャツというと「ただでかい」 と思われがちですが、さにあらず。身幅・肩幅は今までワーカーズが作って来たワークシャツと比べても若干大きい程度。
一番の違いは、袖ぐりと袖山。カマと呼ばれる、ネックから袖底までの縦方向が深い。つまりアームホールが大きい。さらに、袖の山が低く、袖幅がかなり大き。それに伴い肘も大きい。
着てみると、体を動かしたときに袖まわりの突っ張りが無いのでとても動きやすい。そう、これが本来の「ワークウェア」のフィット感です。
この肘あたりのゆったりした生地の「あまり=ゆとり」をひたすら嫌がったのが2010年前後でした。そのころのフィット感をどこまでも引きずっていたので、一度リセットで新たな型紙を起こしました。
素材、定番の5 オンスクラスブルーシャンブレー。洗うほどに色が変わり、襟回りは最後インディゴ色が抜けてしまう。
着丈は80 センチ前後。外に出すにはちょっと長い。でも、今はこれを出して着る着方もありでしょう。
一時 期のように「こういう着方じゃないと」が無くコーディートはお好きにですがおじさんはタックインがおすすめですタックインして体を動かしても裾が出てこない。
生地がぼふっとパンツに乗っかった、あの感じも懐かしい。
脇はマチ無し。細幅の折伏せ縫い。でも、こういう部分を気にしてみてくれる人も一時期より減りました。が、やっぱり好きだし、もう10年近く前ですがアメリカ物のボタンダウンを解体して作り方を覚えた部分なので今でもこの仕様は欠かせません。
台襟+羽襟。台襟にはチンストラップ無し。羽襟も長すぎず、短すぎず、アールもついていない「どこまでも普通なワークシャツ」をモチーフにしています。
肩・袖ぐりの巻き縫い部分は1/4インチ幅のダブルステッチ。ここもトリプルじゃないのは参考にしたオリジナルがあるからですが、ワークシャツらしすぎないことを気に入ってこの個体を参考にしたからでもあります。
羽襟周りはダブルステッチ。お願いしている総社縫製さんの腕の見せ所。ステッチ云々よりまず、襟先の返しがとってもきれいです。昔、私も縫ったことありますが気を遣うし、綺麗にするのが難しい部分です。
良く、ルボナーの松本さんに「今でもこれはちゃんと縫えるなって製品あるの?」と聞かれます。私自身、ジーンズはミシンがそろっていれば今でもすいすい縫えると思います。工程も覚えているし、そもそもジーンズはこういった襟先のような通称「手勝手」が要る部分が非常に少ないのです。地縫いしてひっくり返す部分がないですし。
本来、人間の手のうまい下手に頼っていた部分を徹底的に排除して、ミシンや金具を使って効率よく、均一に作れるようにしたのがジーンズなのだと思います。だから今でも「ミシンがあれば縫える」と思うのです。(逆にトラウザーズの小股の部分なんかは、何回かやって思い出さないときれいにできる自信がないです)
左胸のみペン差しあり。ポケットの形は左右同じ六角型。見えないですが口はチェーンステッチ。フロントの前立て部分を縫うのと同じミシン・同じセッティングで縫います。
フロント、上前はZ型に折りながら多本針のチェーンステッチミシンで一気に縫っています。
下前側、チューブ状に生地を当てながら、先ほどと同じミシンのセッティングを変えて。本来、大量生産向きに下糸をボビンに巻かないでよい、さらにアイロンも使わないで金具(ラッパ)で折り曲げながら縫ったわけですが、今日、100枚やそこらの数を昔の大量生産方式で作ろうとするとかえってミシンセッティング含め大変!という部分です。でも、ここを「なんちゃって」ではなく、本来の縫い方でやりたいのでミシンや金具を用意しています。また、「どうつられていたか」がわかったうえで作ることで、古いものが持つ、独特の雰囲気を再現することもできるからです。
通称「イッテコイ」。切り込みを入れた身頃をパイピングのように巻き込んで、突端まで行って・帰る(コイ)するから「イッテコイ」。突端部分は縫い外れないよう無理やり縫い込むので「ギュ」っと皺が寄ります。
脇はマチ使いでチェーンステッチでそのままオーバーラップ。
背ヨーク、比較的まっすぐで細い。このあたりも参考にしたオリジナルに忠実に。
おそらく、Montomery Wardのオリジナルブランド、HOMESTEADERだと思われるワークシャツ。この個体はMontgomery Wardの記載なし。
ビンテージのワークシャツパターンを改めてトレースするにあたり、何をモデルにするかが一番悩みました。候補は、BIGYANK の山ポケ、USN と思われるシャンブレーワークシャツ複数、そしてこの HOMESTEADER。どれもきれいにアイロンをかけて、数日間、ハンガーにかけて壁に吊り、古着屋さんの 「ちょっといい物置いてます」という感じで眺めていました。
BIGYANK はやはり「YANKらしさ」が満点。背面のカーブしたヨーク、特徴的な袖口やポケッ ト。今回はもう少しベーシックにという事で脱落。残る 3 枚はいずれもブルーシャンブレーで良く似ているのですが、一番「なんでも無かった」のがこの HOMESTEADER。ビンテージとしても、さほど取り上げられず。でも、我々が今日(こんにち)「アメリカのビンテージ古着」として定義する良さが私には一番感じられました。 何でもない、それこそ日本でいえばダイエーやイトーヨーカドーで売られていたであろうワークシャツ。そこに、各部分ごと専用のミシン、金具がセッティ ングされ。大量に効率よく縫うためのチェーンステッチ、これが今となってはワークウェアらしいデザインにも見える。綿糸が食い込む縫製は、摩擦を押 さえ強度アップ。細かなパッカリングもわざとらしくない。素材も必要十分。強度はありつつも、綿 100% で着こめばなじむ。だから、この一枚をモデルにしています。
大きすぎない襟。襟先のきれいなダブルステッチ。
六角形のポケット。
フロントの皿ボタンと多本針ミシンで一気に縫った前立て。
カフスの形、ステッチ。開きのイッテコイ。このあたりも真似しています。袖口はボタンが取れていたので、BIGYANK風の物をつけなおしています。
ストレートで細めのヨーク。
見えづらいですが、ヨークに貫通したネームのステッチ。
脇のマチ始末、チェーンステッチのオーバーラップ。
素材 5オンス・コットン100%・シャンブレー
附属 尿素ボタン
縫製 綿糸
ワンウォッシュ製品 MADE IN JAPAN
サイズ14 肩幅45.0cm 身幅52.0cm 着丈80.0cm 袖丈61.0cm
サイズ15 肩幅46.0cm 身幅55.0cm 着丈82.0cm 袖丈61.0cm
サイズ16 肩幅47.0cm 身幅59.0cm 着丈82.0cm 袖丈62.0cm
Workers K&T H MFG Co.
岡山を拠点にし、主にアメリカ物ワークアイテムを紹介しているブランドです。
実際のアイテムを調べる事はもちろん、そのアイテムを作っていたメーカーや現存する建物にまで足を運び歴史を調べ上げてアイテムづくりのヒントにしています。
生地やパーツにこだわり抜いた商品ながら非常にコストパフォーマンスの高いアイテムが特徴です。