Workers "Fatigue Trousers, OD Poplin"
24 年秋冬。WORKERSの高度な交渉術により奇跡の生産がかなった6 ポケット。
「何を大げさな」といわれるかもしれませんが、私が今お願いしているパンツ工場さんは基本「ジーンズ・チノパン・ベーカー」が得意。6 ポケットを縫ってもらおうとすると「脇ポケット」が曲者。普段の生産工程とは違う流れになるので、ここの人手確保が難しいのです 。
いや、縫うことはできます。それを「工場さんが採算の取れる価格」＝「製品になったときに買いやすい値段」で作るのが難しい。それを交渉＆こうやったりああやったら採算取れるんじゃない？と試行錯誤で製造できました。
で、M-65 が出来たんだから「春はあけぼの」・・・じゃなくて「春はFatigue」です。
作りはオリジナル解体してほぼそのまま。以上です。というわけにもいかないので解説します。 オリジナルは脇ポケの中にもう一つ小さいポケットがついている、これは無くしました。さすがに「7 ポケット」と言ったら工場さんから怒られそうなので。「本物そっくりがいいんだ！」という方は本物か
バズリクソンズさんを買ってください。
でもシルエットは古着デッドをばらしてそのまま取ったので、本当にそっくり。
生地は6オンス弱のポプリン。バリっと固い手触りの平織り生地。
生地巾が狭く、1着当たりの必要メーターが多い＝定価が高くなるのですが、比較して一番オリジナルに近い手触りのもの。これをノンウォッシュ・洗い無で納品します。
洗濯、天日干しで試験したところ縮みはわずか。 サイズを選ぶときはタイト過ぎない物を。ウェストに調整バックルがついているので絞って穿いてください。
古着解体でそのままパターンを取りました。股上、それほど深くない。ワークウェア的な使われ方をしたものなので、当然浅くはありませんが、極端に深くはありません。
穿いてみるとこんな感じ。OWしてから穿いたので各部に適度に皺が出だしています。
写真のモヤモヤはモアレ。超高密度な生地をカメラで撮ると、映像素子ピッチが合わない、書きだした解像度が合わない、最近のカメラはローパスフィルター（あえて、ぼかして解像をなくしてモアレを押さえる）が無いなどで、こういうのが出ます。
一枚づつ、画像加工でなくせば良いのですが、すいません、やりきれませんでした。現物には、当然、このモアレはありません。
フロントボタンフライ。ボタンは、平ミシンボタン付けで、糸付けの回数増やして、できる限りガチガチにつけてます。
フロント斜め切り替えポケット。前にタックが無いので、斜め切り替えがしやすい。型紙作る側の視点ですが。
細いループ。これが、昔は岡山・広島の工場さんに中々なかった。ということで、この工場用に一台、あちらように一台と用意しているうちに4台にもなってしまったミシンです。
腰裏に流し込みのサイズネームと・・・
袋布には「それっぽい」ネーム。毎度おなじみ、WORKERSレーザープリンタ謹製なので、そのうち消えます。
地味に「ファティーグらしさ」を出す膝タック。これがあると、無いとでだいぶ雰囲気が変わります。
WORKERSの夏の定番「FWP=Fatigue trousers without Pocket」を買うお客様に「今年は膝タックあるので買います！」と言われたことがあり、お客様は見てるな〜〜〜と実感しました。
出ました、脇ポケット。工場さん曰く
「何人で、丸一日で何枚折ってつけられる。だから、この倍数で作るのが効率よくて・・・云云かんぬん」
と熱く語ってました。
「あれ、ベースのチノパンに足した工賃より、それってだいぶ安くできてない？」とか思いましたが、まぁ、後ろフラップもあるし、裾スピンドルもあるし、腰バックルもあるし。
別に私自身としては、工場さんが安心して作れれば工賃はいくらでもかまいません。私が「この値段で作って」とか言えるものではないので。ただ、高すぎれば買える人が少なくなる。あまりにそれが少ないと採算が、工場も、私も取れない。結果、その製品が作れなくなる。それだけの話なので。
露出しないボタン。ジャングルファティーグ、最初は露出していましたが都合が悪かったのでしょう。セカンドモデルからヒヨクがつくようになります。
TCBさんから「せっかく作るなら、レアなファーストモデルやればよいのに！」と言われましたが、今回は何となくセカンドモデル以降にしたかったので。ファーストは一応、売れませんでしたが以前作りましたし。
後ろ側。ポケットに向かって一本ダーツあり、倒しのステッチは無し。
このおかげでヒップに丸みが出来ています。
後ろポケットもヒヨクあり。う〜ん、手間をかけさせてくれる。
ウェストにサイズ調整のバックルあり。これはしっかりと効くバックル。中には、紐とバックルの巾があってなくて、する〜っと抜けてしまうものもありますが、この組み合わせはバッチリ。
裾スピンドル。先っぽはあえての「プラスチック止め」
参考にしたオリジナルがそうだったので。
ボタンホールが開いた部分は補強布を中にかませています。一枚のところにホールを開けると強度的に厳しいので。
スピンドルがすっぽ抜けないよう、片側は閂止め。
スピンドルの先始末。写真では金属っぽい色ですが、間違いなくプラです。
う〜ん、ここまで各部調べてみて・・・やっぱり縫うのも、部品揃えるのも、型紙作るのも大変。もう少し、定価高くても良かったかも・・・と後悔しつつ、あんまり高くっちゃみんな買えないよと思いなおして。
素材 6oz・コットン100％・ポプリン
附属 尿素ボタン
縫製 ポリエステルスパン糸
MADE IN JAPAN
S ウエスト83.0�� 股上(前34.0cm,後42.5cm) レングス73.0cm ワタリ幅35.5cm スソ幅23.5cm
M ウエスト88.0�� 股上(前34.5cm,後43.5cm) レングス73.0cm ワタリ幅36.5cm スソ幅24.0cm
L ウエスト93.0�� 股上(前35.0cm,後43.9cm) レングス73.0cm ワタリ幅37.5cm スソ幅24.0cm
Workers K&T H MFG Co.
岡山を拠点にし、主にアメリカ物ワークアイテムを紹介しているブランドです。
実際のアイテムを調べる事はもちろん、そのアイテムを作っていたメーカーや現存する建物にまで足を運び歴史を調べ上げてアイテムづくりのヒントにしています。
生地やパーツにこだわり抜いた商品ながら非常にコストパフォーマンスの高いアイテムが特徴です。
