Workers "Lot 819 Blanket Lined, 13.75 oz Indigo Denim/ Wool Blanket"
一度は作ってみたかったブランケット付きGジャン。
裏地は、OSHKOSHの古着をばらして検査機関に出してみると「タテ糸は細い綿糸。緯糸はウールとレーヨンの混紡糸」という検査結果。
その結果をもとにWORKERS 版は「タテ糸に40番の綿糸引き揃え、ヨコ糸に再生ウール(W70/P25/ その他5)」という糸を使いました。
表生地はWORKERS定番「ワタを選んで糸から完全別注・米綿100」の13.75 オンス・キバタデニム。
苦労したのが表地と裏地の縮率差。表が激しく縮むので、それに合わせて裏もできる限り縮むよう、あえて洗い加工無し(キバタ)の裏地を作りました。それでもまだ、表の方が激しく縮む!
そこで、パターンを調整「表は大きく・裏はあらかじめ小さく」 ただ、こうすると縫うのが難しい。
ただでさえ、加工していない生地を表・裏に使うので裁断後、生地端のほつれも出やすい。縫ってくれたF被服のお母さんから「綺麗に上がらない!!!」とクレームが出てましたがちゃんと縫えてます。(ファーストサンプル出来上がったときに、ものすごい怒られましたが。こんな生地やめて!綺麗にできない!とか)
仕様も工夫。「SF のL」は表・裏を抱き合わせて1 枚ものとして縫っています。ただ、脇の下のように厚みがある部分は平然とパンク(生地端がきちっと巻き込まれない)している。バックシンチもぶち抜きでつけるから、表・裏の縮率差で生地が吊れすぎ。ビンテージ的にはOKですが、服としては非常に稚拙な作り。
一方「Kansas のL」は、表。裏を別々に縫って仕上げる方法。さらに、裾はフラシで縮率差を無視できる仕様。
WORKERS はこの2 つを合わせて、基本はKansas のL。革パッチはぶち抜き、裾は身頃に流し込み、多少の裏地ダブりはゆとりと考えて作りました。
製品はOW済です。
一番の特徴。「裏地がついてます!」以上。
これが大変で。
まず、裏地がこんな生地は既製品ではないので参考にするビンテージを用意して作ります。作ると言っても、どのような糸が使われているかわからない。
ということで、現物を切って、検査機関に出してバラバラに解体、顕微鏡で観察して繊維を割り出すそうです。(あと、溶かしたりもするっぽいのですが、詳細は教えてもらえず)
タテは細い綿糸が2本並んでいる。
ヨコに、オリジナルはウールとレーヨンが混紡された糸が使われていました。さすがに、ヨコ糸から完全オリジナルで複数色作るとなると、ロットが莫大になりつつ、コストもかかりすぎるので、よく似た雰囲気の糸を探すと・・・再生ウールのウール70/ポリエステル25/そのほか5 という糸を見つけました。
「その他」は再生ウールなので、毎回、混率が微妙に違うため。
オリジナルの柄を参考に織りあげたのがこの裏地。私は、グレー、ブラック、ホワイト、勝手に「地味系」と呼んでいるこの配色が好き。そこで、リーバイスやリーではなく、OSHKOSHの古着を参考にしました。(古いLeeにもこんな地味系があるのはあるのですが)
難しかった裏地と表地の収縮率差。表の方が縮みが激しいので、裏が余る。ただ、この程度のあまりはゆとりになるのでOK。体を動かしたとき、裏地にゆとりがないと突っ張って裂けてしまう事があるので。
わきの下の段差。厚みが矢印で集中しないよう、あえて、前・後ろの身頃、袖に段差をつけています。
私のひくパターンで「縫製が良くわかってるね!」とほめてもらう部分です。あまり工場さんはほめてくれませんが。
ヨコ糸にリユースウールを使ってます!タテ糸は綿です!ラベル。OWですでに消えかかってます。これは、最終的に完全に消えてなくなり、ネームごと溶けて、土台の糸だけが残るはずです。
WORKERSに「真のリプロ」は誰も期待してませんが・・・つい、ボタン裏の丸みのある雰囲気とかやってしまうのです。フラットとはまた違った雰囲気で良いですよね?さすが、世界のYKK、凝ってます。
ひっくり返して着るとTCBさん感が出ます。元ネタはテレビドラマらしいですが、私は見てないのでわかりません。
WORKERSは「ものつくり」はちゃんとしているつもりですが、ストーリーが弱い!このあたり、TCBさんと差がついた原因ですね。私自身、アメカジも好きならアメトラも好きだし、それぞれの「プロダクト」の「作り」に一番惹かれてしまうので。
襟は180度近い、ワイドスプレッド気味。あえて今回はここは耳無し。
OWですでにチラチラ色落ちの片りんが見えてます。
506が519だから、806が819。実は、以前、全然別品番で819を使ったことがあるのですが、そちらは廃番なので、819XXとしてみました。
ラベルは牛革の防縮無し、コーティング無し。
フラップ裏は昔作った抜染生地をランダムで使っています。何が来るかは買ってからのお楽しみ・・・ですが、多分今回はシャドーストライプで統一か?
刻印入りリベット。実は、裏にも今回から刻印は入っていますが、裏は裏地の中にあるので見えません。残念!
が、袖口のリベットは裏地が一部、縫い込まれていないのでリベット裏を見ようとすれば見えます。
開き部分、縫いこまれていない裏地。ワークウェアではこちらの仕様が多い。裏地と表地の縮率差があっても吊れない。厚みがありすぎて固くなりすぎない。工夫された仕様。
あえて革パッチだけは表・裏をぶち抜き。最後まで、工場さんは「表・裏が吊れて、形が崩れるからいやだな〜」と難色を示していました。でも、首ぎりぎりだし、中心だから、ここは止まっていた方が良いと私は思うので。かつ、革ラベルのステッチはアイコンでもありますし。
ここも「わかってるな!」とほめてもらいたい部分。縫い代が分厚くなりすぎないよう、巻き縫いを互い違いにしている場所。合印にもなります。 カーブなので、多少ズレたりはするのですが・・・この工場さんは綺麗すぎるぐらいきっちり縫います。
腰帯部分、裏地が縫い込まれているので厚みがある。なので、表に激しく色落ちの「兆し」が見えます。
せっかくボタンワークスさんで作ってもらったら、同じ時期にあっちもこっちも作り出してしまった、針無しシンチ。まぁ、皆、似たようなもの作るので仕方ありません。
つけ方がハンマーと治具で手打ち!という世界なのでつけるのが針シンチより大変。(針シンチは縫えばよいだけなので簡単)
素材
表地:13.75オンス・米綿100%・インディゴデニム
裏地:W63%/P22%/C11%/A2%/ N2% ボーダーブランケット
附属
刻印入りタックボタン・リベット
針無しシンチ
縫製 主要部綿糸
ワンウォッシュ製品 MADE IN JAPAN
40 肩幅50.0cm 身幅62.0cm 着丈63.0cm 袖丈59.0cm
42 肩幅52.0cm 身幅65.0cm 着丈64.0cm 袖丈60.0cm
Workers K&T H MFG Co.
岡山を拠点にし、主にアメリカ物ワークアイテムを紹介しているブランドです。
実際のアイテムを調べる事はもちろん、そのアイテムを作っていたメーカーや現存する建物にまで足を運び歴史を調べ上げてアイテムづくりのヒントにしています。
生地やパーツにこだわり抜いた商品ながら非常にコストパフォーマンスの高いアイテムが特徴です。