Workers "PARKA, M-65 A.K.A. 「Fishtail」, Cotton Nylon OX, Black"


Workers "PARKA, M-65 A.K.A. 「Fishtail」, Cotton Nylon OX, Black"
去年の秋口から延々解体をインスタでお見せしていたM-65フィッシュテール、やっと出来上がりました。

パターンはほぼそのまま。サイズスペックだけオリジナルはXS で身幅63-5センチ程あるので、WORKERS ではS としました。 おそらく身幅についてはS でほぼすべての方が着られるサイズ感。

1 サイズにするか悩みましたが、個人的にもう少し大きく着たいのでM(身幅70)もラインナップします。(注文は少ないでしょうが)

仕様、ライナーをつける内部ボタンは無し。

フロント、オリジナルはめくると芯が見えてしまう部分を、上手く生地を折り込んで隠れるように。さらに、その生地自体にも芯としての役割を持たせました。シンプルでありながら、綺麗・機能もある。我ながら良く考えついた仕様で綺麗です。

素材、OD はオリジナルのリプロ生地を探しコットンとナイロンの交織。タテが綿でヨコがナイロン。綿の持つ吸湿性、 ナイロンの持つ速乾性を併せ持った生地と言われています。ナイロン混は絶対に乾燥機はNGです。縮みが激しく出ます。

スタンドカラーなので中にスウェットフードを合わせて着るもよし。シャツ/ セーター/ ジャケットでタイドアップして風よけとして羽織るも良し。裏地はありませんが、袖ぐり・袖幅・身頃、かなり太く作っているので窮屈には感じないと思います。


M-65、フィッシュテールの特徴。襟が台襟。ミリタリーでは着脱式のフードがつきますが、WORKERS版は割り切ってフードはつきません。というのも・・・


中にフードスウェットを着たかったので。着脱式の機構をつけようとするととにかく工程が増えて、ただでさえ高いコートがもっと高く成る。そもそも、フードも別に作らないといけない。
古着でフードをつけてみましたが、正直「まぁつく」というレベル。安定して使い勝手の良いフードとは言えないので、もう割り切ってオミットしました。



フロントの大型ファスナー。前はYKKも気合でこんなデザインを「オールドアメリカン」という名前作っていましたが、いつの間にか「シルバーはやめます」「この形は廃番です」と辞めたい感、満々になってしまったので今回は不採用。という事で、朝日ファスナーさんの大型ファスナーに、やはり朝日さんの力織機テープでプル。


メインネームはせっかくなので作りました。会社のプリンターで。堅牢度は非常に悪いので、何回か洗うと文字が消えていき、最後は土台の布のコーティングが溶けてステッチだけが残ります。それもまた、ビンテージっぽくもあり良いかと。



複雑怪奇な縫い方をした腰ポケット。ビンテージを解体して型紙を作り、いつものアウター工場さんにビンテージの解体済と、解体前の半身を見せながら「やってくれる?」と聞いてみると「OKOK、ついこないだ他でもやったからばっちり理解した。あのめちゃくちゃな縫い方でしょ」。さすが、気が合う工場は違います。



現代なら、玉縁ポケットにフラップを流し込めば良いだけなのに、わざわざ玉縁が一部フラップにくっついたような形。一応「物が落ちづらいように」と言われていますが・・・まぁ、初めて作るので原理主義的にいきました。


地味に難しい、袋布をぐるっとぬったパイピング。「金具で縫うんだから簡単だろう」と私も20年前思いました。でも、それはそれでコツがあるのです。
袋布は4枚構造。一番外側に表と同じ生地、中に無地のコットンフランネルを抱かせています。手が暖かいようにという工夫。ビンテージは化繊混っぽい起毛生地ですがWORKERS版はもっと手触りが良いコットンフランネルにしました。


腰に通したスピンドルの表側への出口。テープで補強してハトメ打ち。
表側はスピンドルを結んで止める。スピンドルの先はプラスチックチップ。WORKERSではたいてい、スピンドルの先は金属チップですが、ここはあえてのプラチップ。



パイピングの最初・最後部分はカンヌキで補強。裏地が無い仕様なので袋布始末に手間がかかっています。


袖ぐりは絶対にパンク(生地をお互いに噛み合うのが浅くなり生地の裁ち端が見えてしまう状態)にしたくないのでステッチを一本入れて仮止めしています。



ぱっと見は大したことないけれど最大の工夫。見返しを折っています。ビンテージはここが折るのではなくて三巻で芯が流し込み。それだと、ちらちら芯が見えて美しくない。かつ、ビンテージは芯もかなり分厚い固いもので、強度的には良いのでしょうが表地の薄さになじんでいるとは言い難い。

そこでWORKERSでは見返しを折り返し仕様にして中を見ても表地。芯は見えない部分になじみの良い接着芯に。かつ、接着芯は表側には貼っていないので、長く着用して多少接着が落ちても中の話で表には響かない。

我ながら、書いていても同業のパタンナーさんしか「なるほど!」と言ってもらえないだろうと思いつつ、言わずにはいられない部分なのです。


下前側はフロントのドットボタン下側をぶち抜きで打って見返し端を止めています。


これも簡単やようで悩んだ肘のタックの取り方。

通常であれば、右のようにタック部分を山にしてパターンを作りますが、カーブ部分へのタックなのでなだらかにならない。そこで、あえて縫い代はまっすぐにしてたたみ方を指示することできれいななだらかな線に。ここをなだらかにしておかないと、後で巻縫いするときにうまく縫えなくなります。


肘のタック。丸みのあるシルエットを出している原因。



袖口の調節、タブ+中にゴム+ボタン。やたら大きいボタンは、手袋をしていても使いやすいようになどと言われていますが本当か不明。



「フィッシュテール」の由来、後ろ裾が長く、下がったパターン。それをたたんで収納できる仕様。



身頃側、テープをたたいて補強としてそこにスナップの受け側。


裾側にスナップのオス側。裾に入ったスピンドル、ウェストとは違う物。裾はゴム入りのスピンドル。これが中々探すのが大変でした。ゴムは入っている、でもだらんと垂れないとおかしいのです。

最初用意したものはハリがありすぎて出口からまっすぐ。それはおかしいと、いくつか探した中から「まぁ良かろう」という物を選んでいます。


在庫がある限りはUNIVERSAL刻印で。在庫が尽きればNEWMAX刻印になります。


ここも地味すぎるこだわり、裾のスピンドルが通るトンネル部分。ここを縫うためだけに金具を作りました。左右を折りながら、2本針のチェーンステッチで縫うための金具です。

カンドメはスピンドルがすっぽ抜けないよう、脇で身頃にぶち抜きで止めています。

表地:5オンス・コットン75%・ナイロン25%・オックスフォード
袋布の中:起毛したコットンツイル(コットン100%)
縫製 ポリエステルスパン糸
MADE IN JAPAN
S 肩幅57.0cm 身幅64.0cm 着丈97.0cm 袖丈59.0cm
M 肩幅59.0cm 身幅70.0cm 着丈100.0cm 袖丈61.0cm

Workers
岡山を拠点にし、主にアメリカ物ワークアイテムを紹介しているブランドです。
実際のアイテムを調べる事はもちろん、そのアイテムを作っていたメーカーや現存する建物にまで足を運び歴史を調べ上げてアイテムづくりのヒントにしています。
生地やパーツにこだわり抜いた商品ながら非常にコストパフォーマンスの高いアイテムが特徴です。
型番 PARKA, M-65 A.K.A. 「Fishtail」
販売価格
52,000円(税抜)
サイズ
購入数