Workers K&T H MFG Co“Prisoner Coat, Navy”
久しぶりにPrisoner Coat。一時期、古着屋さんで「Prisoner Coat」という名称で出回ったコートが元ネタ。
N-1 のようにオフセットしたフロント、手を入れやすい大型のD ポケット。以前作った同型からの変更点はシルエット。
昔作った時の型紙は非常にコンパクト。 見栄えは良いのですが今着ると窮屈。
そこで、冬にアウトドア系のジャケットをガバっと羽織る、あの感覚をウールジャケットでも実現できるよう身幅、袖ぐりはゆったり目。中にシャツ+Yonetomi のリジットカシミアなら余裕。RAF Sweater も余裕。さすがにアランニッをト着ると脇の下がきついのと、そもそも暑すぎる。(アランニット着る時はA Foggy Day Coat のギャバジンの方がベター)
表地、ネイビーメルトンは16 オンスで極厚。厚く固い生地ですが、パターンの妙で窮屈には感じない。
袖裏、いつもならキュプラを使うのですが、今年だけは素材メーカーが火災で原料糸が全く手に入らないのでポリエステルツイルに変更。でも、ぱっと見は化繊とわからないぐらい今の化繊は良く、滑りもばっちり。帯電もほぼありません。化繊=パチパチするという私の勝手な思い込みは自分が子供の頃の思い出でした。
身頃の裏地は綿ツイル。ここまで滑り良い化繊にしてしまうと、ちょっとWORKERS らしさが無くなるので。
ボタンはアメリカから輸入するWaterbury button company 製。
久しぶりに作るPrisoner Coat。一番変えたのがシルエット。
正直、真冬になると「ああ、アークの中綿着て行っちゃおうかな」となりがち。ああなる理由を考えた時「軽くて暖かい」は当たり前として、あのゆったりとしたシルエットでストレスを感じない部分は大きいと感じました。
そこで、Prisioner Coatの仕様はそのままに、シルエットをアウトドアウェア的なゆったり感を出してみました。実際、着た画像を見てもらうと・・・
身幅がゆったり、首回りも中にある程度ネックがあるものを着ても窮屈でない。
肩幅を出して、袖を太く。でも、袖口の絞りは以前と同程度でぶかぶかに成らないように。
トップボタンはしめても着られます。前合わせが深く、襟は真ん中まで来ない。左右に引いたデザイン。真ん中までくるとどうしても首が詰まって見えるのでひいています。
襟腰のステッチ。二枚襟にすることも考えましたが、元ネタが1枚襟でその雰囲気は維持したい。でも襟腰にある程度固さが欲しい。
さらに、今回Navyが特にそうで、生地が固い。襟全面に芯を入れては固くなりすぎる。そこで・・・
襟腰だけに毛芯を入れ、その毛芯をステッチでしっかり止めて襟腰のしゃっきり感、硬さを出しています。
裏襟はなじみを考えバイアスで裁断。でも襟腰はしっかり立ってほしいのでタテ地の目で1枚物。
おなじみ、アメリカThe Waterbury Button Companyのボタン。最近、営業の人が変わってレスポンスが非常に悪いのが玉に瑕。今も4月末にはできると言っていたボタンが全く何の音さたも無いのに気づいて問い合わせ中です。
でもさすがアメリカと思うのは、こういう型があり、こういうクオリティでいまだに作ることができる事。最初に問い合わせしたときに「今は海外で作ってるの?」と聞いたら「今でもコネチカットで作ってるからいつでも見においで!」と言ってくれました。
身頃裏地はコットン。ある程度滑りが良い、綾織り。少し厚手で表地の厚さに負けないように。
左右に内ポケット。シンプルな貼り付けですが、玉縁のように切れ込み入れない、生地の厚みも薄く仕上がるので許される製品であれば私は好きな仕様。
サイズネームはシンプルに。
袖裏は今回ポリエステルツイル。いつもはキュプラでしたが、旭化成工場火災で材料がないため今、キュプラはほとんど国内に無いのです。
が、使ってみるとポリエステルツイルも良い。一番は寸法の安定。キュプラは水洗いするとどうしても縮みます。その縮みも考慮してゆとりを入れていましたが、それでもゆとりが無くなってしまうの見ると「突っ張ると裂けそうだよな」と心配していました。
その点ポリエステルは洗っても本当に変化が少ない。熱にも強い。
化繊というと、60/40クロスはコットン60/ナイロン40で熱にめっぽう弱く縮みます。ポリウレタンも消して熱に強くないし、挙句経年劣化で切れだす。そのイメージがあったのでですがポリエステルは試験結果を取り寄せたり、自分で洗ってみたりしても本当に強いです。現代が何でもかんでも化学繊維になってしまう理由もわからなくもないです。
袖口を抑えるダブルステッチ。表地がかなり分厚くハリもあるのでダブルで収まりよく。
外ポケット、左右に斜め切り。手を入れやすい角度。中の袋布を身頃にたたきつけてデザインにも。
後ろ中心の割りステッチ。縫い代が立ってこないよう安定させつつ、厚みも減らしたいので割り。
背面の肩甲骨下あたりのゆとり。アクションプリーツのように縦方向に皺が入っています。この皺は取ってはいけない皺。
人が手を下ろして静止した状態なので、ゆとりが皺というか、ヒダになっている状態。
表地:16オンス・ウール90%ナイロン10%・メルトン
裏地:コットン100%・ツイル
袖裏:ポリエステルツイル
附属 ウォーターベリー製金属ボタン
縫製 ポリエステルスパン糸
MADE IN JAPAN
36 肩幅48cm 身幅54.0cm 着丈72.0cm 袖丈58.0cm
38 肩幅49cm 身幅57.0cm 着丈73.0cm 袖丈59.0cm
40 肩幅50cm 身幅62.0cm 着丈74.0cm 袖丈60.0cm
Workers
岡山を拠点にし、主にアメリカ物ワークアイテムを紹介しているブランドです。
実際のアイテムを調べる事はもちろん、そのアイテムを作っていたメーカーや現存する建物にまで足を運び歴史を調べ上げてアイテムづくりのヒントにしています。
生地やパーツにこだわり抜いた商品ながら非常にコストパフォーマンスの高いアイテムが特徴です。