Workers K&T H MFG Co "Big Safari Shirt, White Broadcloth"
真夏まで着られる、身幅のゆったりしたシャツが欲しい!と取扱店さんから言われモチーフを考えました。手に取ったのが”Banana Republic Guide toTravel &Safari Clothing”という、「サファリ系」の服をイラストで紹介している本。その
中にサファリシャツを見つけて「これだ!」とひらめきました。
サファリシャツ・ジャケット系統の古着、一見同じようでポケットが違ったり、襟の長さ、カフスの始末など、仕様は様々。その中から、自分なりに「いかにもサファリシャツらしい」「でもやりすぎではない」仕様をまとめました。
デザイン、胸のタックポケットと弧を描いたフラップがいかにもサファリ。背面にはセンタータック+ハンガーループ。
袖口の開きは少し長めで袖がまくりやすいように。悩んだのが、よく袖の中に仕込んであるタブ。あれは、袖をまくって
止めるための物なのですが、どう考えても着ている時に腕に当たって邪魔なのでつけませんでした。
シルエット、Mサイズの身幅で60センチ程度とかなりゆったりシルエット。肩幅は47センチ程度で、落ちるほどでは
ないのでおじさんが着てもOKなビッグシルエット。
素材はブロードクロスで3オンス。サファリシャツでおなじみのポプリンからドレスシャツ的にアレンジ。真夏に着ることを考えると最適な素材。ゆったりしたシルエットとも相まって、中に風が通って涼しい。素材に合わせてボタンもデザイン・大きさを変えています。
製品はOW済です。
Big Safari Shirtと「ビッグ」と名付けてはいますが、首回りは通常のボタンダウンなどと同じ寸法。台襟+長すぎない、かといって短すぎない羽襟。
ボタンダウンは襟先が止まるので収まりますが、通常の襟は先はそうもいかない。ネクタイをすれば収まりますが、カジュアルシャツだとネクタイもしない。そうなると、台襟・羽襟の寸法での調節。長すぎると暴れるし、印象が1970年代っぽくなる。かといって羽襟が小さすぎるのも子供っぽい。とにかく「バランス」を考えて寸法を設定しました。
もう一つ、身頃の第一ボタンの位置も重要で、低すぎると開きすぎる、上すぎると首が詰まって見える。そのバランスを考えた結果が・・・
こんな感じです。機能性は当然確保しながら、「どういう見え方にしたいか」をパターンで調整します。ただ「どういう見え方が、今に、また自分が作る製品にふさわしいか」は常に変化し続けるので、結局、毎シーズン、同じような形でも型紙は検討して、サンプルを作らないといけないのです。
完全シャツ生地のブロード2色は、貝ボタン「風」の樹脂ボタン。貝ボタンにしてしまうと、どうしても洗う時にネットに入れたり手間がかかる。このシャツはデザインソースがアウトドアウェアなので、よりラフに使えるようにしたい。でも、生地に合わせた雰囲気のボタンが良い。という事で、貝ボタン「風」の樹脂ボタンにしました。
このボタンが良くできていて、ここまでアップにしても貝ボタンのあのギラっとした色合いが良く出ています。
特徴的な胸ポケット。いかにも「サファリシャツ」感が感じられる部分。型紙を作る時は、フラップの弓形状が大事で、弧が深すぎるとちょっとデザインに寄りすぎる。突端が角が出すぎるのもやはり、デザインが強すぎるので、何本も描いてみては紙に出して検討しました。そういう時に、CADと紙だし機は便利です。
袖口、長めのプラケットで袖をまくりやすく。見えませんが、裏は断ち切り部分が見えないきれいな始末。
総社縫製さんの腕の見せ所。脇の極細折伏せ縫い。これもきれいですが、その折伏せで分厚くなった部分を見事に三巻しています。脇に向かって、かなりカーブがきついのにこの仕上がり。昔は私も、色々縫ってみましたが一番苦手だったのがこの三巻でした。ラッパ(金具)を使いながら、この脇のような分厚い部分はそれをはずしたりして縫います。うまい。
背中側。身頃にタックがあるので、肩巾はある程度で収まりつつ、身頃にゆとりが出る。静態した状態では身幅は収まり、手を動かしたときにこのタックが開いて、生地に必要な運動量を確保する。単純ですが、よく考えられた仕様。
中心には、これまた「アウトドアウェア」らしいハンガーループ。実用というよりはデザインですね。
MADE IN JAPAN
素材 3オンス・コットン100%・ブロードクロス
附属 樹脂ボタン
縫製 総ポリエステルスパン糸
M 肩幅47cm 身幅61.0cm 着丈76.0cm 袖丈61.0cm
L 肩幅49cm 身幅69.0cm 着丈78.0cm 袖丈63.0cm
Workers K&T H MFG Co.
岡山を拠点にし、主にアメリカ物ワークアイテムを紹介しているブランドです。
実際のアイテムを調べる事はもちろん、そのアイテムを作っていたメーカーや現存する建物にまで足を運び歴史を調べ上げてアイテムづくりのヒントにしています。
生地やパーツにこだわり抜いた商品ながら非常にコストパフォーマンスの高いアイテムが特徴です。