BUZZ RICKSON’S "HELICOPTER CREW JACKET, 1st CAV. DIV."
米軍はベトナム戦争でヘリコプターを使い、兵力を大量に且つ直接前線に送る戦術を考案しました。
ベトナムのジャングルではトラックや装甲車よりも、道なき道や湿地帯を自在に目的地まで瞬時に移動できるヘリコプターは、兵員の輸送、負傷兵の搬送、空中からの攻撃など様々な場面で大活躍しました。
そのような最中にヘリコプター乗員が着用する通称ヘリクルージャケットが採用。
軍用品において普段は厳格なミルスペックが存在するも、戦時下ではある程度緩和され現場任せの傾向があった。
ベトナム戦争当時、現地で実に安価でオーダーメイドのジャケットを仕立てることが可能だったため、兵士たちは現地で調達した素材や、本国から届いた資材でスペシャルオーダーするのが流行しました。
このジャケットに用いられた素材は、当時熱帯気候を考慮し、軽量で乾きの早い特性のあるジャングルファティーグで成功を収めたコットンポプリンです。
胸に第1騎兵師団、第9騎兵連隊章。袖に攻撃用ヘリコプター"コブラ"と第1騎兵師団章。
背中に「死んだら天国へ行くのさ、今が疑獄だから」という兵士の気持ちと部隊章がチェーン刺繍で施されています。
MATERIAL : Cotton Poplin
LINING : Insulation Polyester Pile
FASTENER : Mil Specs Brass Oxidized Black
LABEL : Buzz Rickson Sportswear Company
M 肩幅56.0cm 身幅68.0cm 着丈71.0cm 袖丈64.0cm
L 肩幅58.0cm 身幅70.0cm 着丈74.0cm 袖丈66.0cm
BUZZ RICKSON'S
数々の傑作衣料の中でも、さらにその最高レベルに位置するのが"FLIGHT JACKET"であることに異論はないでしょう。飛行士の命を守るため、国の威信をかけ、莫大な開発費用と計り知れない数々の実験、そして膨大な労働力をもって究極のユニフォームは開発されました。時代の最先端素材と縫製技術、細部に至る知恵と工夫。飛行士達を夢中にした見栄えの良さ。このような"FLYING CLOTHING"の先進性と合理性は、現在においても民間衣料に多大な影響を与えています。
時は1993年、"FLIGHT JACKET"の歴史と誇りを追求する最強のブランドが誕生しました。"BUZZ RICKSON'S"。その復刻作業は、スペック、素材、フォルム、パーツに至るまで徹底的にこだわり、一着一着にクラフトマンシップを込め、本物だけが持つ魅力に肉迫します。映画「戦う翼」の劇中でスティーブ・マックィーンが演じる役名に由来する“BUZZ RICKSON'S”は1993年、大空に向けて飛び立ちました。
徹底的な素材分析がBUZZのブランドポリシー
BUZZ RICKSON'Sはフライトジャケットの真のレプリカを作ることを目指しています。そのため、現存するヴィンテージを徹底的に分析・研究しているのです。中でも素材、特に織布系素材の復元には力を入れています。まず当時の素材を、繊維構造や紡織方法に至るまで時間をかけて解明することから始めています。例えばナイロンであれば、赤外線を当てたときの変化を見る「赤外線分光分析」や、どのくらいの温度で溶けるかを見る「融点測定」などを行うことで、それが、何種類も存在するナイロンのうちのどれに当たるかを特定するわけです。こうして素材を特定できても、特に特殊な素材の場合、すでに生産されておらず、手に入らないことがわかり、そこで、その素材を自分たちで作ろうと試みたのです。ところが今度は、現在使われている紡織機では構造上作れないことが判明しました。そのため、古い紡織機を探し出し、壊れていたり調子が悪かったりする部分を分解・修理して、ようやく、思うような素材を織れるまでになったのです。