EXOTICO DE LAGO "BLUE BOLERO / KUNG FU ROCK, 7inch vinyl"
2018年12月22日発売
"Review"
ロックステディとエキゾチカに軸足を置きながら、独自の道を突き進むEXOTICO DE LAGO。2018年6月にはファースト・アルバム
『EXOTICO DE LAGO』を完成させたが、ミックス作業に2年もの歳月を費やしたことからも分かる通り、彼らは徹底的に音の「質感」にこだわり抜くグループだ。ただし、EXOTICO DE LAGOが追求するのは今日的なハイファイな音でもなければ、60年代のヴィンテージな音の単なる再現でもない。ダスティーでくぐもった音の向こうから、目を覚ましたばかりの音楽の亡霊が手招きをしているかのような「質感」。そうした音を現代に追求しているのはEXOTICO DE LAGOぐらいのものだろう。
『EXOTICO DE LAGO』のリリースからさほど間を置かずに届けられたこの2曲は、埼玉県入間市の元米軍住居地域跡地ジョンソンタウンのスタジオ「guzuri」でレコーディング。リーダーである長久保寛之(ギター)を筆頭に、小西英理(ピアノ)、小粥鐵人(ベース)、森俊也(ドラム)、加藤雄一郎(アルトサックス)、稲田貴貞(テナー・サックス)という編成による演奏が収められている。
長久保によると「CheapでElegantなRockSteadyの“Blue Bolero”、インチキくさいギターインスト“Kung Fu Rock”」という2曲。ほろりとした甘さのなかには、異国のスパイスの香りも少々。どこか懐かしくて、いまだ誰も聴いたことのない未来の音楽でもあるという、まさにEXOTICO DE LAGOならではのレコードである。この旨味ばかりはデータやCDではなかなか伝わらない。レコードに針を落とした瞬間から音楽の魔法がじわりと広がるあの感覚をじっくり堪能していただきたい。
大石始(ライター)