Workers K&T H MFG Co "Modified BD Dark Blue Chambray"
オックスが定番のボタンダウンシャツを異素材で。
シャンブレー、ダークブルーはいわゆるワークシャツのシャンブレーのブルーとは違う、より落ち着いたトーンのもの。
Modified Fit はこの10年程のシルエットの流れを数値化して研究、導き出しました。2000 年代、タイトフィッティングから始まり2018年、最近は少しルーズなフィットが流れ。これら、時代に求められるシルエットに加え、本来の「シャツとしての機能性」「日本人の体形に合う寸法」を考えて各部の寸法・曲線を型紙に落とし込みました。
身頃、フィット感はあるけれどもピタピタでは無い。肩幅も落ちすぎず、入りすぎず。着丈は裾を出しても・入れても着 られる72-3 センチ程を中心に。袖ぐりのカマ(縦方向の寸法)自体はある程度寸法があり、窮屈さは無い。でも肘から 先をわずかに細くしてすっきりと。その分、袖がまくりづらくなるので、袖口の開きは深めにとる・・・といったように、 論理的に考えて型紙をひいています。デザイン的なシャツでは無く、設計的なシャツとでもいうのでしょうか。型紙を自 分でひくからこそ、こういう作り方の品番もあるのです。
高すぎない台襟、短すぎない羽襟。身頃、第一ボタンの位置もセクシーになりすぎない、でも首が詰まっても見えない。「中庸」を目指した首回り。
やはりボタンダウンの「顔」と言えるのがこの首回り。
台襟のボタンをあけて少し羽襟がロールする感じを目指して寸法・型紙を微調整してきました。
ポケットは樽型。たまにはホームベース型も・・・と考えるのですが、やはりBDというとおなじみなのでこちらをつけました。
ドレスシャツ的には「ポケット無し」もありなのですが、ボタンダウン、特にカジュアルよりのオックスはドレスシャツというよりはスポーツシャツ。なので、ポケットはつけます。素材がブロードのようにもっとドレスよりになるとまた別の話なのですが。
ヨーク、肩線はステッチなし。ステッチが入らないことで少しドレスウェア的な雰囲気。押さえてないのでヨークが少しふわっとした感じにもなります。
前立てはおなじみ、環縫い始末。今回のオックス・千鳥ともに厚みがちょうどこのミシンに向いています。極端に薄い生地の場合平ミシンで始末した方がきれいに行くときもあるのですが、できればここは環縫いでいきたい。いかにも「アメリカントラッド」と呼ばれる服の特徴で、部分的に量産的な縫い方を取り入れているのです。ただ、取り入れるといっても完全に「ドレスウェア向き」にカスタマイズされています。極細の糸、それも綿糸。これでミシンピッチを細かくして入れる。ピッチが細かいということは当然、針が落ちて、ルーパーと呼ばれる下糸を導く部分と交差する回数が増えます。ミシンの調整自体が「バチッ」と決まってないと目飛びしたりうまく縫えません。
WORKERSではこの前立て部分はWORKERS専用のミシンを用意して工場さんに貸し出しています。
初期WORKERSでは、当然工場にあるミシンで縫っていました(それも会社の裏に放置されてたのを出してきてラッパ探して色々話はあるのですが)。その時々、自分でセッティングをして「さぁ縫ってくれ!」という状態にしていたのですが、それでもどうやっても調子が取り切れない時がありました。というのは、工場では
「今日は20番糸かけて10針で」
「明日のWORKERSは50番かけて20針で」
と仕様が変わる。そのたびにミシンのセッティングはするのですが、条件・仕様が大きく違うとどうしてもセッティングを追い込みきれないのです。その状況にフラストレーションを感じ、当時としては大きな投資(新品の関西スペシャル前立て縫い、50万弱)をしました。
周りの人からは「一年で何枚縫う?それにすることで幾ら製品の値段があげられる?上げないなら一生元が取れないぞ」と言われましたが、元が取れるとか取れないの問題ではなく、どうしても自分が求めるきれいな縫い方がしたかったのです。私自身、原価とか、設備にかけた金額の回収とか考えはします。採算度外視なんてのはきれいごとです。採算度外視して、製品を作り続けられなかったら生きていけない、買っていただくお客様も裏切ることになる。でもだからと言って、目先の採算だけ考えてどんどん値段上げてたら、それは単なるメーカーである私の都合。
そうじゃなくて、もっと長い目で考えれば、自分が納得いくもの作るにはどうやっても道具が要る。道具が買えないぐらい高いなら他の方法を考えますが、買えるレベルなら買えば良いじゃないか!目先の採算より本当に作りたいもの作ることが大事だ!とこの時思い切りました。前立てを見るたびに思い出します。
袖口もおなじみ、芯止めステッチが表カフスにのみ入る仕様。長めのスリット開きは袖をまくりやすくするため。
背面、身頃中心にたっぷりとタック。このタックで体を動かしたときに生地が突っ張るのを防ぐ。いわゆる「運動量」というもので、体が運動したときに必要な生地の量とでもいうか。ストレッチのある素材なら、運動量はほとんど無くても着心地に影響はないのですが、WORKERSが使う生地はほとんどストレッチ性は無いもの。綿やウールにもある程度のストレッチ性はありますが、ポリウレタンのようなゴムのようなストレッチ性はありません。ストレッチ性が無い生地を使うには、このタックや、アクションプリーツのような生地を畳んで運動量を確保したり、ゆったりしたシルエット自体に運動量を入れこんだりと工夫が必要なのです。
脇はマチ無し。脇の折伏せ始末は極細。これもおなじみ、束縫い+倒し。
ワンウォッシュ製品, MADE IN JAPAN
素材 5オンス・コットン100%・シャンブレー
縫製 綿糸
サイズ
14.5 肩幅44.0cm 身幅52.0cm 着丈73.0cm 袖丈62.0cm
15.5 肩幅45.0cm 身幅55.0cm 着丈74.0cm 袖丈63.0cm
サイズ表
Workers K&T H MFG Co.
岡山を拠点にし、主にアメリカ物ワークアイテムを紹介しているブランドです。
実際のアイテムを調べる事はもちろん、そのアイテムを作っていたメーカーや現存する建物にまで足を運び歴史を調べ上げてアイテムづくりのヒントにしています。
生地やパーツにこだわり抜いた商品ながら非常にコストパフォーマンスの高いアイテムが特徴です。